リバイバル作戦 OPERATION REVIVAL
3050年、継承権戦争が終わり平和だったその年、謎の軍勢が中心領域を襲いました。氏族を名乗る彼らは、数百年前に消息を絶ったケレンスキー艦隊の生き残りだったことが判明します。
リバイバル作戦 OPERATION REVIVAL
最初の強襲は、中心領域のコアワードから襲いかかる波のようだった。それは3050年の3月7日に始まった。3月20日までにすべての侵攻氏族は、連邦=共和国、ドラコ連合、自由ラサルハグ共和国の兵士たちと交戦した。中心領域の防衛網は、辺境から大規模な攻撃が来ることをほとんど予期しておらず、すぐに崩壊していった。いくつかの世界では防衛隊が地下に潜り、効果的なゲリラ戦を行った。氏族たちは、連邦=共和国とドラコ連合の後継者を捕らえるまでに接近した。それを知らぬスモークジャガーは、タートルベイでホヒロ・クリタ(セオドア・クリタの息子)を数週間捕虜にしていた。彼が悪名高いクルシイヤマ収容所から逃げ出してから、ようやくジャガーは手からすり抜けていった者が誰だったのかに気づいたのである。
ホヒロ・クリタの逃亡には、もうひとつの重要な意義があった。この件がタートルベイでの一連の暴動を後押しし、ジャガーの旗艦がエドシティを軌道爆撃することで頂点に達したのだ。猛烈なこの攻撃で、中心領域は氏族が核兵器を使ったと考えた。ほぼ数百万人がこの強襲で死んだ。残虐で異様な行動に、中心領域と氏族でさえも多くがジャガーを敵視したのである。(ジャガーの)シャワーズ大氏族長とファルコンのクリッチェル氏族長ですらも怒り狂い、他の氏族長たちは、入札から戦艦を取り除くというウルフの意見に喜んで従った。だが、ファルコンがズーテルメールで同様の戦術を使うのは妨げられなかった。
4月の後半までに、第一波は終わりに近づいていった。征服に酔っていた氏族は、シャワーズ大氏族長が要求していた協調行動に失敗した。全4氏族は強襲の報告書を提出したが、ファルコンとジャガーのものは事実というよりフィクションであった。これが残りの侵攻の気風を作った……共同しての中心領域侵攻というより、侵攻氏族間での点取り競争になったのである。当初の計画を破棄して、氏族は一週間だけ待って強襲を開始した。5月末までに第二波が終わった。ウルフが提出した第三波の改正スケジュールは、第三波と第四波をくっつけて強襲のペースを加速しており、他の氏族を怒らせた。もしウルフが成功したのなら、彼らが競争の事実上のトップとなってしまう。そして失敗したら敵につけこまれる隙を作ることになる。ゴーストベアはとくにこの動きに憎悪を募らせた。彼らは反乱軍から「解放」された世界を守るためにスティールヴァイパーと増援軍の契約をせねばならかったのだ。
ウルリック・ケレンスキーは自由ラサルハグ共和国の首星を強襲すると決めた。その惑星はウルフとゴーストベアの侵攻回廊の境界にあり、両氏族は惑星ラサルハグを奪取する名誉を賭け、入札したのである。第五波まで待つことなく、第三波の間に入札することで、ウルリックは数ヶ月前に結んだゴーストベア氏族長との協定を破っていたが、それを守るとベアが固執すればメンツを失うことになったろう。その代わりに、ベアはできうる限りウルフを妨害し、そのほかの強襲を妨げた。ゴーストベアの新氏族長ビヨン・ヨルゲンソンとアレサ・カブリンスキー氏族長は、ウルフがラサルハグを勝ち取るというのなら、受容できる兵力削減をさらに下回る入札をせざるをえないようにした。彼らはウルフがお手上げになるのを期待した。が、ウルリックは秘密の武器を持っていたのだ。
わたしが収集した諜報情報を利用して、ウルリックはラサルハグの防衛軍を思いのままに操作した。ファルコンやジャガー(中心領域軍に正面強襲戦術を熱心に用いた)と違って、ウルリックは自軍の損害と、ウルフの領地になるかもしれない土地へのダメージが、もっとも少なくなるよう願った。ラサルハグで達成したものに対する嫉妬が、究極的にジャガーによる惑星ウォルコットでの屈辱を導いた。
その一方、スモークジャガーもまた強襲のペースを早めた。大氏族長に率いられ、素早く目的を果たしていった。ジェイドファルコンとゴーストベアより先に進んでいたのだが、すぐ犠牲者の座へと墜ちていくこととなった。いわゆる「パラダイス・シンドローム」(奪取した中心領域の惑星への尊敬の念に近いもの)が、土地と領地への所有の神判を増やした。連合が後援する反乱が彼らの世界で活発化すると、この氏族は難しい立場に追い込まれていった。重要な補給を失い、暴動を素早く収めていったというのに、3059年のブルドッグ作戦までこういった活動に悩まされることとなった。
強襲の第五波は3050年の8月(ファルコンとウルフは7月)に始まった。時を待たずして、誰も予期していなかったドラマが起きた。9月10日、連邦=共和国の逆襲がトワイクロス(6月、ファルコンに奪取されていた)で開始された。連邦=共和国の兵士は二線級の氏族戦士(反抗に対しほとんどなにもできないだろう)と交戦することになると予期していた。かわりに彼らが見つけたのは前線星団隊のファルコンガードだった。グレート・ガッシュ(大断層)でのカイ・アラード=リャオの大胆な行動によって、連邦=共和国はわずかな、だが重要な勝利を得た。どんなに激しい戦いだったといっても、氏族軍――おそらくエリート隊――が中心領域の手で負かされたのは事実だった。さらに悪いことが続いた。
ウルフに領土の広さで負けているのを補う方法を探していたスモークジャガーは10月2日にウォルコットを強襲した。ホヒロ・クリタはジャガーを失敗に導いた。そしてジャガーは連合の罠に突っ込んでいったのだった。彼らは撤退し、二度とこの世界を攻撃しないことを承認し、DCMS(ドラコ正規軍)に4機のオムニメックと24体のバトルアーマースーツを提供した。DCMSの兵士が氏族の神聖を汚したと確信したジャガーは、中心領域からのバッチェル(両軍が交戦の目的と使用する隊を決める儀式的な交渉)を二度と受けないと誓った。その一方でゴーストベアはどうにか進んでいた。ラサルハグを賭けた入札に失敗した彼らは、他のいくつかの強襲を完全に成功させた。これらの実績(ふたりの新氏族長の任命に伴う)は、ベアの態度変更をもたらした。それは実質的にベアをもっとも強い氏族とし、守護派に転向させる原因となった。だが、彼らがその道に踏み出す前に、さらにショッキングな出来事が起きたのである。
ウルフ氏族の着実な拡大に伴い、シャワーズ大氏族長は3050年11月1日に大戦争評議会の招集を命じた……おそらくウルリック氏族長を非難するためだった。が、氏族はレオ大氏族長の意図を知ることはなかった。10月31日、艦隊がラドスタットに集結すると、自由ラサルハグの選定公マグヌッソンを護衛した輸送隊が、ラドスタット星系にジャンプしてきた。ラサルハグ軍は選定公の航宙艦が逃げる時間を稼ぐために、素早く戦闘機を発進させた。パイロットたちは素晴らしい英雄的行動を見せた。とくに我が古き友人であるティラ・ミラボーグは。戦闘機を駄目にされたティラは、ウルフ氏族の旗艦ダイアウルフに自殺的突撃を行った。即座に彼女は死んだ。そのショックでレオ・シャワーズ大氏族長が死に、ウルリック・ケレンスキー氏族長が死にかけた。たったひとりでティラ・ミラボーグは丸一年間、氏族の侵攻を止めたのである。
平和の年 THE YEAR OF PEACE
氏族人のなかには、大氏族長の死に復讐するべきと主張した者もいた。中心領域の人間に数千倍にして返すべきであると。幸運なことに、冷静な者の方が多かった。
侵攻派氏族は主星のストラナメクティに帰還して、新たな大氏族長を選出することにした。戦闘のなかでもたらされたこの凪は、〈平和の年〉として知られるようになった。
氏族の本拠地は地球から1300光年の位置にある。中心領域−辺境の国境から約800光年離れている。氏族艦隊が帰還しているあいだ、継承国家は一時的な同盟をする時間を与えられ、反撃の方法を学ぶ機会を得た。氏族がストラナメクティに集まる一方で、中心領域の指導者たちも同じようにアウトリーチ――ウルフ竜機兵団(中心領域と運命をともにした)の本拠地にいた。竜機兵団は中心領域の戦争指導者たちに、氏族の戦闘スタイルを教えた。残された猶予は長くないと知っていた。
そのあいまに、氏族はレオ・シャワーズに対する調査を進め始めた。ほとんどの者たちにとって、今世紀で最初の大氏族長が中心領域の手で死んだのは、非常に悪い兆候だととらえられていた。
猛烈な議論が巻き起こり、氏族にも氏族人にも大氏族長の死に関する責任はないとされた。しかしこの討論はもっと危険な政治的ゲームの足がかりとなった。残留氏族は侵攻氏族の前進に不満を持っており、侵攻軍に加わることを請願した。進行氏族はいかなる権力の縮小にも反対し、よって彼らのうちから新たな大氏族長が選ばれることになった。本来なら、中心領域に対する戦争で炎を調整できる者だけが、そのポストにふさわしかった。
最終的に守護派的精神を持つウルリック・ケレンスキーが指名と選考されたことは多くの者……特に侵攻氏族の驚きをもたらした。だが、それを巧みに計画実行した者には、理由があったのである。ケレンスキーをウルフ氏族長の座から外して、新しいウルフ氏族長を侵攻派のシンパに代えることを望み、それによって族長会議のコントロールを強固なものにしようとしていた。また守護派の大氏族長に、侵攻派の政策をとらせる皮肉をも気に入ってた。が、ウルリックは伝説的なナターシャ・ケレンスキー(最近氏族宙域に戻った)を新たな地位につけて、彼らの裏をかいた。ウルフ竜機兵団に生存していたただ一人のブラッドネーム保持者として、ナターシャはただ一人、氏族からの帰還命令に従った。彼女は強固な守護派で、ウルリックはウルフ氏族の支援が受けられることとなった。侵攻派が族長会議を牛耳っており制約を課されているのだが、大氏族長は柔軟性を与えられたのである。
残留氏族からの圧力に屈して、ウルリックはさらに三つの氏族を参加させた……スティールヴァイパー、ノヴァキャットを強襲隊として、ダイアモンドシャークを新たな予備氏族として。この動きには三つの目的があった。第一に、侵攻派を邪魔する一方で、侵攻力を増強できる。追加された二つの強襲氏族は、もっとも外側の侵攻ゾーン(ファルコンとスモークジャガーの侵攻回廊)に割り当てられる。ファルコンとジャガーの戦闘能力は殺がれ、さらに重要なことに、新参者たちに占領地域をいくらか渡さなければならなかったのだ。
第二に、これら3氏族は、強襲における侵攻派の力を弱めた。ダイアモンドシャークとノヴァキャットが守護派である一方、スティールヴァイパーは両者のあいだを行き来する「日和見主義者」として知られていた。この三つの守護派氏族は、ウルフ氏族が三つの侵攻派氏族とバランスを取る役割を果たした。他方、ゴーストベアは侵攻派的な見方から確実に離れつつあった。よって守護派の優位は保証されたように見えた。
第三に、この態度は残留氏族を落ち着かせた。侵攻軍に三つの氏族を加えることで、自分たちにも参加させろという要求の正当性を除去した。アイスヘリオン(もっとも顕著な侵攻派のひとつ)は選ばれることを望んでいたが、数年前に行った行動によって、そうはいかなくなった。元の侵攻軍から外されたことに不満を持った彼らは、氏族宙域での襲撃を開始した(「ヘリオンズ・フューリー戦役」と呼ばれた)。この攻撃は軍の勇気と力強さを示したのだが、戦力を代償とし、他氏族と疎遠になったのである。従って、彼らが選ばれるチャンスはなかった。
血の涙 TEARS OF BLOOD
3051年の後半、氏族は中心領域に帰ってきて、11月の前半に、攻勢作戦を始めた。だいたいにおいて、氏族はうまくやっていたが、〈平和の年〉のあいだに、中心領域は氏族の優位をいくらか跳ね返す戦術と装備を開発していたのである。侵攻速度の低下と大氏族長の後押しを鑑みて、ノヴァキャットとスモークジャガーはドラコ連合をノックアウトすることに決めた。11月20日、ウルリックは「ちょっと重要なとある世界」に関する情報をコムスターに請求した。ルシエンである。
連合首都に対する強襲は3052年の1月4日に始まった。5個銀河隊――ジャガー3個、ノヴァキャット2個――が惑星に降り立った。彼らの主目標は帝都(インペリアルシティ)であったが、優れた諜報の成果によって、軍事の管領セオドア・クリタは攻撃に対する準備ができていた。氏族に相対するは、16個連隊……9個連合部隊、7個傭兵部隊である。前者は、精鋭のヴェガ軍団、オトモ、第1〈光の剣〉、両ゲンヨウシャ部隊。後者は、ケルハウンドとウルフ竜機兵団だった。この両傭兵隊は、連邦=共和国のハンス・ダヴィオン国王からの支援としてルシエンに送られたものだ。多数の二線級部隊を従えた防衛軍は二日間、大地を守り抜き、究極的に敵を防ぎきった。両陣営は、多くの英雄的な行動を見せ、驚異的な損害を被った。ルシエンはこれまでの戦いで最大のものとなり、ジャガーとノヴァキャットの半数以下しか惑星から脱出できなかった。
ルシエンでの敗戦は、氏族にいくつかの教訓を与えた。第一に、トワイクロスとウォルコットの敗北が例外であると主張できなくなった。ルシエンは立ち向かいあっての戦いであり、連合が何度か罠を用いたにせよ、戦闘のほとんどは公明正大であった。中心領域軍は、考慮に値することを証明したのである。第二に、大氏族長の個人的な支援なしでは、この2氏族の協調関係に問題があると露呈された。ノヴァキャットとジャガーは互いに敗北の責任をなすりつけあった。未来における両者の協力の可能性は一切無くなったのであった。
だが、あっけなく、ルシエンの件は重要性を失った。1月7日、ミンド・ウォータリー(コムスター首位者)は、サタライスで大氏族長と会合を持った。その場で、ウルリックは氏族の究極的な目標を明らかにした……地球の「解放」と星間連盟の再建である。
コムスター(この時点まで氏族と協力していた)は、突如、好戦的なスタンスを取った。戦いが続く一方で、コムスターの戦司教は、地球を賭けた戦いを計画した。彼も大氏族長も、人類発祥の地での戦いを望まなかった。そこで彼らは代理となる世界、ツカイードを選んだのである。その星は自由ラサルハグ共和国に位置していた。ツカイードの戦いは、すべての侵攻氏族がコムガードと戦い、それぞれの目標を持つことになる。もし氏族が勝てば、コムスターは地球を引き渡し、その管理統治部門となる。氏族が負ければ、15年の停戦を受け入れ、ツカイードから地球までの世界を奪取することができなくなる。
叙事詩的な戦いが3052年5月1日に始まり、25日間続いた。たったひとつの単語がすべてを表している。大量殺戮、である。コムガードは兵士の40パーセントを失い、同じ割合が負傷した。氏族は、スティールヴァイパーの死者9パーセント、29パーセント負傷から、スモークジャガーの30%死亡、60パーセント負傷まで幅があった(ジャガーはルシエンの復讐を求め、それが故に無謀な戦いをしたのである)。ウルフ氏族だけが目的を達した……ジェイドファルコン、ゴーストベア氏族が引き分けであった。氏族の敗北はツカイードの停戦に結びついた。3067年まで侵攻を再開できなくなったのである。
執行された平和 ENFORCED PEACE
停戦は侵攻派の気に召さなかった。6月12日に大戦争評議会が合意に批准したあとでさえも、侵攻派はその裏をかく方法を探していた。コムスターによるスコーピオン作戦(ミンド・ウォータリーによる災厄、中心領域の支配権を取るためのもので失敗した)の余波で、氏族の「領域人」に対する態度は頑ななものとなった。すぐウォータリーが辞職したにもかかわらず、コムスターはもう信頼できないと感じていた。ウルリック・ケレンスキーが氏族長たちに停戦を受け入れさせたことは、彼の政治的能力の証拠となり、すべての挑戦を退け続けた……拒絶戦争の運命的な出来事までは。
戦士たちから戦場が奪われ、氏族は不満のはけ口を別に求めた。多くの神判と小競り合いが氏族のなかで起き、氏族内での襲撃――侵攻のあいだには、少なくとも占領域ではなかったこと――が、顕在化した。長期に渡るヴァイパーとファルコンの確執はエスカレートしていった。後者は3052年から3055年のあいだに、9つの占領した世界を失った。翻って氏族宙域では、スターアダーが戦力と優位性を残留氏族に示すため、ダイアモンドシャークとの一連の戦いを続けていた。バーロック氏族はファイアマンドリルに対し、似たような領土奪還を目指し、飛び地においやった。
この時、ジェイドファルコンはふたつの戦争の矢面に立っていた。3051年、彼らはスノウレイヴン氏族と同盟を結び、取引を拡大して、リバイバル作戦のあいだに戦艦10隻を借り受けていた。ところが、レイヴンは形勢を変え、ファルコンに合意を破棄するよう迫った。これが両氏族に苦い不和を産み出した。ファルコン軍の大半が中心領域にいるなかでレイヴンは畏れなかった……もっとも一連の襲撃で海軍は傷ついたのだが。しかし、この戦いによって、ヴァイパーは充分に息を付く余裕を与えられた。ヴァイパーとスノウレイヴンは長きに渡り対立しており、皮肉な結果といえる。
この内戦は中心領域の人々にとってさほど意味を持たなかった。もっと重要だったのはいわゆる「レッドコルセア」による襲撃である。真相は解明されていないのだが、ジェイドファルコンが停戦ラインを超えて兵を送り、ツカイードの停戦を破ることを考えたようである。それを公然と行うことはできないので、ウルフの侵攻派と共謀して「盗賊による襲撃」を作り上げた。こうなると中心領域は氏族の宙域に部隊を送らざるを得なくなる。氏族は中心領域が協約を破ったと主張でき、ペナルティを受けることなく侵攻を再開できる。わたしはウルフ氏族軍(条約を守り、レッドコルセアを司法の場に出す任務を負っていた)を率いた。わたしは対等の環で、個人的にコナル・ワード(陰謀の中心にいた人物)と会った。彼は侵攻派が何をしているかを認めたが、ファルコンとつながっている証拠は得られなかった。だが、この期間にファルコンのほぼ1個星団隊が消えていることは、偶然の一致であるはずがない。あらゆる側面で、計画は失敗した。だが、中心領域への襲撃は公然と続いた。
ウルフ氏族
ツェストレグ 3050
ウルフ氏族は3050年3月、ツェストレグに降下した。この世界を守っていたのは、第1、第2ツェストレグ市民軍機械化歩兵連隊だった。アニック森林の戦いで、第352強襲星団隊の指揮三連星隊、エレメンタル三連星隊が、防衛部隊をあまりに圧倒したために、惑星政府はそれ以上の破壊を避けるために、すぐさま降伏した。
シャトー 3050
ウルフ氏族は3050年3月、ジ・エッジに降下した。彼らに立ち向かったのは、第10ドネガル防衛軍RCTと、第1、第2シャトー機械化市民軍だった。サラ・シュタイナー指揮するドネガル防衛軍は、氏族侵攻の第一波で最も手強い抵抗を見せた。スターコーネル・ララ・ワードは第279戦闘星団隊の指揮超新星隊、第1三連星隊ですべての抵抗を押し切るつもりだったが、シュタイナー准元帥の戦術的手腕の前に挫折した。
戦役の決定的なポイントは、シャトー市民軍がパニックに陥り、防衛軍の陣地を脅かした時にやってきた。シュタイナー准元帥は退却を呼びかけたが、メック2個小隊と3個通常連隊以下しか救うことができなかった。
ジ・エッジ 3050
ウルフ氏族は3050年3月、ジ・エッジに降下した。彼らに立ち向かったのは、傭兵メック大隊アウトローズと、第1機械化旅団であった。型破りの戦いの中で氏族と戦うのは、自殺に他ならないと、トルネトレスクの戦いにおいて証明された。アウトローズの2個中隊だけが、第16戦闘星団隊の指揮超新星隊、第2超新星隊、アルファ、ブラボー戦闘機星隊から逃れ得たのだった。
アッレゲ 3050
ウルフ氏族は3050年3月、アッレゲに降下した。彼らに立ち向かったのは、傭兵メック大隊スキナー・シミタースと、第2、第5アッレゲ戦車連隊、第1アッレゲ歩兵連隊であった。防衛部隊の大部分は、第37打撃星団隊の強襲超新星隊によって壊滅した。シミタースの1個中隊が生き残り、脱出してロディゴに行くのに成功したのだった。
アイカー 3050
ウルフ氏族は3050年3月、アイカーに降下した。彼らに立ち向かったのは、第12スターガード第3連隊、第3アイカー装甲旅団であった。第1、第2超新星隊、アルファ強襲星隊(第4ウルフガード)は、降下地点を攻撃した直後に、スターガードの第2大隊を撃破した。スターガード指揮官、ハンナ・ケイトリン大佐はポファダー渓谷での逆襲を行ったが、目標達成に失敗した。クーアンガーでエレメンタル隊が降下船に進み、惑星脱出の試みを阻止して、ガードを降伏に追い込んだ。
ヴェルザンディ 3050
ウルフ氏族は3050年5月、ヴェルザンディに降下した。この世界を守っていたのは、ケルハウンド第2大隊(第2ケルハウンド)、第3大隊(第2竜機兵団)、第4ヴェルザンディ装甲歩兵旅団であった。ハウンドと竜機兵団(Drakons)は、氏族に関する情報を求め、プリンス・ウィリアム・アイランド(森林の小島)にリモートカメラやその他の記録装置のネットワークを設置した。第328のスターコーネル・エイゼン・ケデルクによる挑戦がなされると、防衛隊はプリンス・ウィリアム・アイランドを戦場にすることを要求した。バッチェルを尊重する相手の能力に感銘を受けたウルフ氏族は同意した。
防衛隊が素早く敵に次から次へと一撃を見舞うと、戦いは熾烈なものとなった。5時間の戦闘後、ハウンドと竜機兵団は撤退を命じた。エレメンタルの1個星隊が防衛ラインを突破し、記録装置のほとんどを破壊したのである。ハウンドは連邦=共和国に脱出し、竜機兵団はラサルハグにジャンプした。
ロディゴ 3050
ウルフ氏族は3050年5月、ロディゴに降下した。この世界を守っていたのは、アウトローズ、スキナー・シミタース(傭兵2個強化小隊)の残存勢力と、第1ニュースターブルク機械化機兵連隊であった。第11戦闘星団隊、指揮三連星隊のオムニメックは、傭兵のメックと機兵連隊の高速車両によって、ほとんどすぐニュースターブルク隊の内側に釘付けにされてしまった。
いやいやながら、そして困惑しつつ、スターコーネル・アビオセ・ウィンソンは入札を破棄し、第16戦闘星団隊のスターコーネル・ドゥイルト・ラディックに救援を要請したのだった。
リッダーケルク 3050
ウルフ氏族は3050年7月、リッダーケルクに降下した。この世界を守っていたのは、第1ライラ正規隊RCTだった。ライオン・ハーテッド(第328強襲星団隊)は彼らのDZ(防衛地区)を叩き、抵抗を受けることなく首都ヴェシニュールに進撃した。彼らは、第1ライラ隊の指揮官が交通事故で昏睡状態にあり、次席指揮官が部隊を統制できてないことに、気付いてなかった。
第328がついに第1ライラと遭遇すると、ライラ隊はリーダーシップと戦術的統制を欠いていたために、惑星からの退却すら絶望的となった。その日が終わった時、第1ライラ正規隊は消滅していた。
ヴァルカン 3050
ウルフ氏族は3050年9月、ヴァルカンに降下した。第1、第2ヴァルカン装甲旅団は、勇敢に戦ったが、第279戦闘星団隊、指揮、第1、第2超新星隊の速度とどう猛さに耐えることができなかった。
メミンゲン 3051
ウルフ氏族は3051年11月、メミンゲンに降下した。スターコーネル・マルコス・ラディックは、この世界を攻撃する権利をナターシャ・ケレンスキー氏族長から勝ち取ったのだが、入札での勝利は高くついた。あまりに少数を入札したので、狂信的な第3竜機兵団、傭兵隊ブラックオーメン、アウトローズの残存兵力、第1メミンゲン装甲師団との殴り合いは、不可能となってしまったのである。彼は竜機兵団から遠く離れたところに降下して、高速機動戦略を用いた。これは非常に上手くいったが、スターコーネル・ラディックをいらだたせたのである。
ダントンの戦いで、竜機兵団がどこかに消え去えさると、彼の忍耐は限界に達した。怒り狂った彼は、惑星の反抗的な民衆に対する見せしめとして、ダントンの村と、近隣のグリーンヴェイルの村の破壊を命じた。数百の民間人が死んだ。さらなる市民の被害を怖れた竜機兵団はサタライスに移動したが、その前にスターコーネル・ラディックに対するメッセージを送っていた。ダントンとグリーンヴェイルを忘れないことを誓い、マルコス・ラディックに償わせるというものである。
3051 ギュンツベルグ
3051年12月、防備の固い世界ギュンツベルグに対する入札は熾烈なものになった。最後の入札は、ナターシャ・ケレンスキー氏族長(ウルフスパイダーズ)と、スターコーネル・マルコス・ラディック(ヒールスナッパーズ)の間で行われた。メミンゲンの入札でナターシャ・ケレンスキーにしてやられたの気に病んでいたスターコーネル・ラディックは、仕返しを望んだ。ケレンスキーが惑星の奪取をたった一人、スターコマンダー・フェラン・ウルフのみで行うと申し出ると、ラディック、そして見守っていた氏族長たちは愕然として黙り込んだ。フェランはケルハウンドの一員として、ギュンツベルグに駐屯していたことがあり、トール・ミラボーグ将軍のことを良く知っていたのである……親しみは抱いてなかったのだが。
トールはカリスマ的なギュンツベルグの指導者だっただけでなく、ラドスタット州の総司令官であった。彼はティラ・ミラボーグ大尉の父親でもあった。このパイロットはラドスタットでダイアウルフに特攻し、その結果、レオシャワー大氏族長を殺していた。彼をたった一人で説き伏せるというのは、馬鹿げた考えに見えたが、スターコマンダー・フェランはひるまず率直に真実を語る能力を持っていた。フェランはミラボーグ将軍に対し、もし氏族と戦えば、ギュンツベルグ・イーグルス、装甲連隊、第1、第2機械化歩兵連隊は名誉を得るが、勝つことは望みかなわず、確実に全滅すると語った。彼は、この戦いでギュンツベルグに与えられる苦痛と被害を、名誉と比べるように求めた。ミラボーグが抱いていた市民への懸念に対する、スターコマンダー・フェランのアピールが成功し、ギュンツベルグは戦うことなくウルフ占領域の一部となったのだった。
コーベ 3051
惑星コーベは氏族人にとって特別な場所であった。それは、氏族の神話に見られる「楽園の世界」のひとつだったからである。この神話の背景には、コーベが星間連盟の絶頂期に人気の保養地だったということがあった。ガース・ラディック氏族長と麾下のアークティック・ウルヴズが3051年の12月に降下し、火山活動によって破壊された世界を見ると、彼らは失望することになった。ベータ銀河隊に立ち向かったのは、タマラーから押し出された第26ライラ防衛軍RCTと、第1、第2コーベ機械化旅団の2個メック大隊だった。
エレメンタルがライラの戦線をすり抜け、ジョーイ・コレッリ少将を殺すと、ベータはアッシュバレーの緒戦で勝利を納めた。ライラ隊の指揮権は、ジンダース・グリーン=ダヴィオンの手に渡った。彼は落ち着きとリーダーシップを見せ、第26ライラ隊を再編成し、総崩れになるのを押しとどめた。しかながら、その後の戦いでウルフを惑星の政治・産業の中心地(再生された首都ニュー・ポンペイ)から遠ざけるのは難しいと判明した。第26ライラ防衛軍はトゥーンへと後退した。
トゥーン 3051
第26ライラ防衛隊の生存者たちは、ベータ銀河隊の降下船がトゥーンに現れた時には、いまだ戦闘からの回復を図っているところだった。グリーン=ダヴィオン准将はローガン・デルタ市を守るために部隊を配備した。よって、予備部隊は敵の攻撃に対し、素早い反応が可能になったのである。
これは懸命な処置であった……なぜなら、ガース・ラディックは第26ライラを撃破したくてうずうずしていたからである。ヘッドハンター諸星隊はライラ指揮官を探しだして殺すのに失敗した。それはあたかもライラの戦線が破られることはないかのようであった。だがそれは、ラディック氏族長が直々にアルファ指揮星隊を率いてローガンデルタに低高度降下するまでの話だった。ライラ隊はばらばらになり、撤退に追い込まれた。
セヴァーン 3051
鉱物資源と大規模な農地を持つセヴァーンは、価値のある目標だったので、ガース・ラディック氏族長は入札に勝つため、権力を振りかざした。彼と対決したのは、第25アークトゥルス防衛軍RCTの指揮官で、第四次継承権戦争、3039年戦争を経験した、ギルダ・フェルラ少将であった。ベータ銀河隊がカーリスルー大陸に降下すると、将軍はディントン・エーカーで素早く強烈な一撃を加えた。この戦いは決定的なものではなかったが、ウルフの最初の攻撃を効果的に鈍らせた。ベーシングデールで、第3戦闘星団隊はアークトゥルス防衛軍戦線の弱点を発見して攻撃し、フェルラ将軍が援軍を送る前に、守備側を圧倒して、後方に切り込んだ。アークトゥルス防衛軍は守勢に回った。最終的に、リップチャック山の戦いで大隊本部がヘッドハンター部隊によって壊滅した後、フェルラ将軍と部下たちは惑星を離れ、コルマーに向かった。
アルテンマルクト 3052
3052年2月、ウルフスパイダーは、コクスタッドで第1アルテンマルクト旅団を素早く片づけた。第1アルテンマルクト・メック連隊は、惑星に関する知識を有利に使って数日間持ちこたえた。マイデンベルクで指揮官が死ぬと、抵抗は途切れたのだった。
スークII 3052
ナターシャ・ケレンスキー氏族長は、スークIIを守っていた第33アヴァロン装甲機兵隊RCTに関して、どのような幻想も抱いていなかった。彼女が知る彼らは、重メック4個大隊に率いられた、タフで決意を秘めた連隊の集団である。彼女は長期戦の準備をして、装甲機兵隊が予期していた降下地点から離れたところを選び、それからスークIIで最大の大陸の人口が密集した東海岸に注意深く接近した。戦闘が始まると、それは氏族長が予測したのと同じくらい困難であるとわかった。戦闘の第一週目に補給物資(特に弾薬)の大半を使い切ってしまうと、アルファ銀河隊にとって兵站が悪夢と化した。
補給状況が最悪になったので、ケレンスキー氏族長はすべてのメックをエネルギー兵器に換装するように命じ、オートキャノンとミサイルのわずかな弾薬を、特殊強襲星隊群のために温存した。エレメンタルが装甲機兵隊の戦車1個連隊に対し集団攻撃を行うと、アルファ銀河隊がついに優位を得た。軽高速オムニメックが装甲機兵隊の後方を攻撃するための道が切り開かれたのである。手の施しようがない状況になると、ジョン・ヤプト少将は撤退を伝え、装甲機兵隊はオークニーに向かった。
この紛争は、3052年の1月、2月を丸まる費やした、ウルフ氏族による侵攻で最も長い戦役のひとつとなった。
ドメイン 3052
氏族が中心領域に現れたことは、各種の様々なリアクションをもたらしたが、聖キャメロン騎士団ほど変わった反応を見せた者たちは他にそうないだろう。この傭兵隊(隊員たちは、星間連盟のキャメロン家が採用していた高い道徳規準に心の底から心酔していた)は、氏族と戦うべきなのか、あるいは星間連盟正規軍の子孫たちに敬意を払うべきなのか、決められないでいた。フェリックス将軍にとって、答えは明白であった。騎士団が結んでいた連邦=共和国との名誉ある契約は、果たさねばならぬものだったのである。従って、3052年の1月、第1聖キャメロン騎士団は、ウルフ氏族第352強襲星団隊をセスワーン平原で迎え撃ち、戦ったのである。
裏をかかれ、劣勢の騎士団は、ドメインの地形の大半を占める丘や広い平原を通って撤退し、クッソン山脈に向かったが、ザズ川で側面を突かれることとなった。騎士団は首都クッソンで最終的な敗北をこうむり、それから謎の失踪を遂げた。生存者たちは惑星を脱出できたはずなのだが、そうしていない。これまでのところ彼らの足取りは不明である。未確認であるが、もっともらしいところでは、彼らは氏族に加わった可能性がある。
ラスタバン 3052
聖キャメロン騎士団第2連隊は、姉妹連隊と同じように、氏族の到着によって、忠誠心を試されることになった。不幸なことに、第2連隊の戦士たちがどうなったかは説明可能である。聖キャメロン騎士団は猛烈な闘志を見せ(手腕ではなかったが)、ラスタバンの首都キャッスルシティに向かうウルフ氏族第3戦闘星団隊の進撃をとどめようとした。
3032高地で、騎士団の1個大隊は丘陵の尾根を長く保持しすぎて、包囲された。彼らは降伏を拒否して最後のメック戦士の一人まで戦った。残った騎士団の大半は、サンギーヌ・バレーの特に残忍な突進の最中に、第3戦闘星団隊のオムニメック、エレメンタルの手によって戦死した。
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